交わした約束 20年後の再会

わん!わん!「????」わん!わん!「????」「おおーい、岩魚荘のご主人はおるかい?」「はい、なんでしょう?」土間に1人の老人と一匹の白い犬が居た。「わしは、山を降りた所の保健所で手伝いをしとる者なんだけど、飼い主が見つからなくてな。このままだと殺処分になってしまう。可哀想で可哀想で見ておられんくて、ここに連れてきてしまった。すまんが、お前さん飼ってくれんか。」まだ生後半年といった所だろうか。僕を見るなり、喜んで足に飛びついてきた。「しば犬ですね?」「そうなんじゃ。わしも歳が歳で面倒を見てやりたいのじゃが、身体も言う事を聞かなくなってきたし」「分かりました。僕が飼います。」岩魚荘に新たな家族が増えた。尻尾をぶんぶん振り、嬉しそうにこちらを見つめていた。「帰りましたー。あれれ?この犬は??」ちょうど早苗さんが釣りから帰ってきた。「いやぁ、さっき山を降りたとこにある保健所のじぃさんがやってきてね…」わん!わん!「まぁ、人懐こい。一匹で寂しかったかな?沢山可愛いがってあげなきゃね」「名前はどうしようかな。白いし、村育ちだし、ゆきむら!お前は今日からゆきむらだ!」わん!わん!戦国武将も驚く名前。「面白い。ゆきむらね。ゆきむらー。」わん!つぶらな瞳と目を合わせると顔中を舐め回してきた。「わぁ、ゆきむら、やめろー。」わん!また岩魚荘が賑やかになった。

                   続