交わした約束 20年後の再会

テーテテッテッテ♪テーテッテッテ♪ 久しぶりに岩魚峡を降り、街の釣具屋さんに来た。流石は岩魚峡近くの釣具屋さん、トラウト用品がずらりと並ぶ。「わぁぁぁぁ、見てるだけでワクワクしますね!!」特にトラウトの釣り具はカラフルで、目を惹くものが多い。ルアー、ロッド、リール、ワレット、ベスト、ウェーダー、ランディングネット…。まともに揃えると、結構な金額になるが、この日本の釣り業界が世界的なシェアを誇る理由がよく分かった。どの道具も良く吟味され、質の高さと、使いやすさ、見た目の美しさを兼ね備える。「ヌシ用のルアーは…、お?これが良さそうだな」スズキクラフトのレディというミノーが目に止まった。「早苗さん、このバルサミノーが良いんじゃない?」「わぁ、確かに良く泳ぎそう!!それにしましょう!!」ルアーは決まり、次はロッド。「池だから、ある程度のレングスがあって、懐の広い胴調子のロッドが良いかな??」「そうですね、相手は60センチを超える大岩魚だから…、6フィートから7フィートのレングス、MHか、Lくらいの硬さのロッドが良いかなと思います。」そんなこんなで、ひとしきりの道具を揃え、岩魚荘に戻った。「わん!わん!」「おお、寂しかったか?お留守番ご苦労様。」「わん!わん!」ゆきむらが嬉しそうに尻尾を降り、宿に迎え入れてくれた。日が沈み、夜空には大きな月が昇っていた。「あ、今日は中秋の名月です!お願い事しなきゃ!」……「何を願ったの??」「もちろん、ヌシを仕留める事です!それと…」「それと?」「あー、お腹空いた!ご飯にしましょう。」「なんだよ、もう。まぁいいか。」満月のうさぎが一生懸命に餅をつき始め、夜が更けていった。

 

                 続